初恋の、べんてんのお兄さんのコトを一年くらい前の記事で書きました
べんてんのお兄さんは、それほど熱心にワタシのことをかまってくれたワケではないんですけど、バイクをいじったり絵を描いたりするのに飽きて気が向くと、時々ワタシと遊んでくれるのです
なんていうか、そういう「そっけないカンジ」とか「つれないカンジ」とか「ワタシのことなんか気にも留めていないカンジ」が、お兄さんの魅力でした
ワタシと遊んでる合間にも時折見せる、ちょっと冷たいカンジで別のコト考えてたりする横顔とかがスキだったのです
ダルとか、沖雅也サマとか、沖田浩之クンとか、みんなどこか冷たいカンジでしょ?
ワタシにとってはみんなお兄さんの延長です
そういう冷たいヒトの視線が、自分の方に向いたときがワタシにとってのカタルシスなのでしょう
そういう冷たいヒトが、自分をほめてくれたり喜んでくれたりするときがワタシにとっての至福なのでしょう
お兄さんは、いま思うと芸術家肌のヒトだったんだと思います
画集や難しそうな詩や思想書みたいのをいっぱい持ってて、なんだかの絵のすごさについてワタシみたいなコドモに語ったり、だれだかの詩を読んでくれたり、ピアノやギターを弾いて聞かせてくれたりしました
コドモだったから、そういうのは全然ピンとこなかったんですケド、でもでも、お兄さんがワタシだけに(おともだちのあきらクンが一緒のときもあったけど)話してくれるのを、さも解ったみたいなカオして聞いてるのがスキでした
その後、お兄さんは東京の大学に行っちゃって、あんまり会えなくなっちゃったんだけど、時々帰ってくるたびに学生運動の残党みたいになっちゃって、そっけないっていうよりもコワくなっちゃった気がして、だんだん近づきにくくなってしまいました
ワタシも、だんだん自分のコトがわかってきて、敢えて遠ざかってたのかもしれません
それでもお兄さんが大学生になって少しして帰ってきてた頃は、夏休みだったせいもあって、お兄さんのお部屋へかなり頻繁に遊びにいってました
そのころのお兄さんはクラッシックとかジャズとかじゃなくて、フォーク系になってて、おもしろいのやへんてこなのやカッコいいのをたくさん弾き語りで聞かせてくれました
意味がわからないけどスキだったのは、ビートルズの「And I love her」
静かに、ちょっと哀しそうな表情で、ガットギターを奏でながら唄ってくれるのですケド、ちょっとかすれ気味の声で「♪~I give her all my love that’s all I do~♪」なんて唄われちゃうのですから、コドモながらに恋する乙女の心境でうっとり聞き惚れちゃうのでした
それと、初期RCサクセションの「僕の自転車のうしろにのりなよ」
これも、静かに、つぶやくように唄うかわいらしい曲で、お兄さんのうしろから腰あたりをハグしてる自分をイメージしては妄想に歯止めがかからなくなるステキな歌
さらに、おなじく初期RCサクセションの名曲「イェスタデイをうたって」
あきらクンのお兄さんと二人でセッションして弾いてくれたのが、もうこれ以上ないくらいに無敵のカッコよさで、これを独り占め(ホントはあきらクンも横にいたけど、「これはワタシに唄ってくれているんだゎ」って勝手に妄想してたのょ)できるのですから、もうメロメロ状態でした
ワタシのフォーク好きはお兄さんによって決定されたようなものです
本日未明、忌野清志郎サマが鬼籍に入られ、またひとつワタシを形造ってくれた大切な存在が遠くに行ってしまいました
高田渡サマがいなくなってしまったのと同じくらいの喪失感です
過ぎ去るモノたちよ そんなに急ぐな
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