三年前の今日

三年前の今日、ときおり肌の粟立つ涼夜

三年前の今日、鈴虫の声響く静かな霖雨の夜

三年前の今日、ちょうど今頃、あの方の胸に抱きしめられた

三年前の今日、ちょうど今頃、あの方に優しくくちづけされた

三年前の今日、あの方はワタシを必要としてくれた

三年前の今日、ワタシにもあの方が必要だった

三年前の今日、たとえあの方に失望されてしまったとしても

三年前の今日、あの方に本当の自分を打ち明けていたならば

きっとあの方は傷つかなかっただろう

きっとあの方は悔やまなかっただろう

きっとあの方は憎まなかっただろう

きっとあの方はあの世界をもっともっと楽しめただろう

ぜんぶワタシが壊してしまった

ぜんぶワタシがダメにしてしまった

あの方も、あの方のおともだちも、ワタシの大切なヒトたちも

みんながみんな、あまりにも不幸になってしまった

ぜんぶあの日の、ワタシのあやまちのせい

なぜ、ワタシはオンナではなかったのだろう

なぜ、ワタシはオトコの身体をしているのだろう

それなのになぜ

あきらめなければならないのになぜ

ないものねだりなのは解っているのになぜ

なぜ、ワタシは今もあの方が恋しいんだろう

三年前の今日から

その先もずっといつまでも

ずっと一緒にいようと誓い合った

たとえ生まれ変わってもずっと

あの方とずっと一緒にいるハズだった

今日という日はそういう日だ

<森田童子:ピラビタール>

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