ワタシノナマエハ… 狂爛怒涛編(改訂版)

はじめに…

白いワニがやってきたワケじゃぁないんです

お仕事辞めると年度末・始ってイロイロ忙しいんですから^^;

じゃ、よろしかったら読んでみてくださいね

前巻までのあらすじ

心の寄る辺を失い、雑踏の中をあてどなく彷徨う少女少年 いつしか、つい数日前まで仲間たちと歩んだ川辺に立ち尽くしていた 川面を見つめ、交錯した思いに心を占められた少女少年は、ふと我に返ると十数人の少年たちに取り囲まれていた 耳元で囁きかける少年の残酷な言葉に、少女少年の傷だらけの心は虚無と絶望に覆い尽くされてしまう 弱りきった獲物を手に入れた少年たちは、力なく崩れ落ちそうになる少女少年を人気のない川原の方へと引きずって行くのだった

川原の、それも橋の袂下あたりに引きずっていったのは、これから起こる暴虐を人目につきにくくするコトと、橋上を通貨する車両の音が程よく遮音の幕を張って、長時間の隠蔽を可能にしてくれるという、捕食動物なりの知恵なのでしょう

そうしておいて再び少女少年を取り巻く輪を組みなおし、今にも泣き崩れてしまいそうな少女少年をその中心に据え…

まず、先ほどの大柄な少年が少女少年の左頬にひとつ、体重を6割ほどのせて

それでも少女少年の華奢な身体を右後方に撥ねとばすには充分過ぎるほどの力です

生まれてこのかた殴られる経験など味わったコトのない少女少年は、打撃の瞬間歯を食いしばっておくコトなど知りません

さっそく口の中を切って、少女少年の桜色の唇から紅色の血糊が滴ります

撥ねとばされてきた少女少年を後方で受け止めた肥満漢が、ネコの子でも捕まえる様に襟首を掴んで吊り上げ、今度は左脇腹にひとつ

朝から何も口にしていない少女少年は胃液を吐瀉し、その場にうずくまってしまいます

こみあがってくる胃液を抑えようと、右手を口元にそえてうずくまっている少女少年の後髪(昭和の野球少年にあるまじきコトに、少女少年はショートカットなのですょ)を、鼻下に薄ら髭を生やした老け顔の少年が掴み、上半身だけ半ば起こしておいて…

その状態から、立ち上がれないままの少女少年の鳩尾を下方から振り抜く様にして爪先で蹴り上げます

五臓を悶絶させ呼吸すらできない苦しみに、少女少年は自らの吐寫物の中でのたうちます

今度は、肥満漢の後ろにいる揮発性塗料臭の抜けない神経質そうな少年が、目を白黒させて絶息に喘ぐ少女少年を抱え起こし、薬物で少しふらつく足取りながら左上顎部にひとつ

しかし、ふらついてすっぽ抜けたのか、これは上顎部をかすめて少女少年の慎ましく形の良い鼻を側面から打撃してしまい、本人としては不満足な打撃だったようです

改めて抱え起こして見据えると、少女少年が胃液と鼻血に汚れているのにいまごろ気付き、この少年は拳で殴るのを中止します

そして今度はよく狙いを定めてから右肘で、少女少年の左頬から鼻にかけて打ち据えます…体液や血が肌に触れるのを嫌うのは、彼なりの潔癖な性質の表れなのでしょう

少女少年が打撃から逃れられないように、掴んだ襟元を自分の方に強く引きつけながらの肘突ですから、硬く鋭い肘先がカウンター気味に顔に叩きつけられます

今度の手応えに満足しているのは当然で、打撃の時には鈍いイヤな音がしているのです

きっと顔のどこかの骨が折れてしまったのでしょう

気を良くして更に追い討ちをかけようと、両手で顔をおさえてうずくまっている少女少年を踏みつけるように、滅多やたらに硬い靴の踵で蹴りつけます

せっかくの獲物を独り占めされては嬉しくない周囲の少年たちが、うずくまる少女少年をまたしても抱え起こします

そしてそれからは、血の匂いに興奮した鮫の群れが弱った獲物を喰い散らす様に、自分たちの気のすむまで、ありとあらゆる仕方で少女少年の儚げな身体を痛めつけ続けます

でも心の寄る辺の全てをなくし、虚無と絶望の淵に追いやられてしまった今の少女少年にとって、肉体の苦痛は苦痛ではあってもそれ以上のものではありません

あるいはひょっとしたら、その痛みの内に死んでしまうコトすら秘かに願っているのかもしれないのです

もう小一時間が過ぎようとしています

でも、少年たちの狂った宴は一向に終わる気配を見せません

小柄でずる賢そうな少年が川原に放置されていた建材を拾ってきます

木刀代わりにするには丁度いいくらいの長さで8センチ角ほどの太さですから、重さもかなりのものでしょう

威力を確かめるように、建材の先端で少女少年の胸部や腹部を突いては、その度ごとに苦痛に喘ぐ表情を見確かめて楽しんでいます

その時…

痛みと哀しみと絶望と虚無の中、暴行を受け続ける少女少年の耳に何かが聞こえた気がします

足音

それもひとりではなく、何人かが連れ立って歩く足音

そして切なくも懐かしい声音

羽交い絞めにされて建材で突き倒されながら、少女少年は音の聞こえる方に顔を向けます

腫れあがった瞼をなんとか開いた視界は半ば霞んではっきりとしません

でも、少女少年には分かります

それは川原の土手の上をそれぞれの家に向かって帰って行くチームのみんなと、そしてだいすきなだいすきなお兄さん

「タスケテ…」

拘束され、自由のきかない身体をなんとかお兄さんの方に向けようと足掻き、救いを求めるように手を差し伸べながら、決して届かない言葉を血糊で汚れた唇と舌がなぞります

いいえ

仮に声が出せたとしても、少女少年には助けを求めるコトはできなかった…

あるいは敢えてしなかった…かもしれません

ほんのすぐそばに見える彼らの姿は、もはや少女少年にとってあまりにも遠く、そして決して手の届かない・・・手を触れられるコトを冷たく拒むものなのです

少女少年の挙動に、狂宴に酔い痴れる少年たちも土手の上の人数に気付きます

リーダー格の少年の全身に一瞬、緊張がはしり全員を押しとどめます

でも、土手の上の人数が何者であるかを見確かめると、どうしたわけか制していた腕をふたたび解いてしまいます

一瞬のあいだだけ静寂を取り戻した袂下で、少年たちが狂宴を再開します

制止を受けていっそう昂ぶってしまった暴力への欲求を解消しようと、先ほどの小柄な少年が建材を右肩に担ぐように大きく振りかぶります

今にも少女少年を左袈裟に打ち据えようとした時、リーダー格の少年がその建材を取り上げます

取り上げられた小柄な少年は、ちょっと不満気な表情になりますが、得物を拳と膝に代えて憂さ晴らしです

格下の少年たちにはそうさせておきながら、リーダー格の少年は少女少年の痛々しい姿を念入りに見据えています

その様子は、少女少年の損傷具合を精査し、そろそろ弱ってきた獲物をしとめるのにちょうど良さそうな頃合を緻密に計算している小型の肉食恐竜(ヴェラキラプトルとかね^^)の様です

かわいらしい桜貝のような爪はすべて無残に割り剥がされ、絹の様にしなやかな肌のあちこちには生々しい火傷の痕すら刻まれ、意識すら混濁している様に見えます

少年は建材を右手で握り二・三度振って手応えを確かめると、どうしたわけか少女少年の拘束を解かせてしまいます

あまりの惨たらしさに、爬虫類程度の頭脳にも憐憫の情が生まれたのでしょうか

不意に拘束を解かれて力なくその場に崩れ落ちそうになりながら、それでもなんとかその場を逃れようと、少女少年は四肢をもつれさせながら無意識に土手の上を目指します

懐かしいみんながやって来る方を目指します

そこに逃れたとしても、救いがあるわけでもないのに

でも…

暗い橋下を出て、もう少しで月明かりの堤というところで、リーダー格の少年は少女少年の背後から、無慈悲なほどの膂力を以って建材を振り抜きます

打撃は左側頭部から後頭部にかけて

みごとな斬撃…そして生木がへし折られる様な不快な音です

少女少年は斬撃の直前、混濁した意識の中で土手の上を行くお兄さんの姿を確かに見ました

橋下のざわつきに気がついてこちらに視線を送るお兄さんの姿を確かに見ました

土手の上を目指して息も絶え絶えに這い進んで来る無残な姿を、お兄さんの瞳が捕捉したことを見確かめました

その惨たらしい姿が少女少年だと認識しても何らの感興も起こさず、その瞳の中に冷たく凍りつきそうな光を湛えていることを見確かめました

汚らわしいものでも見たかの様にお兄さんが自分から視線をそらし、そのままみんなと行き過ぎる後ろ姿を見ました

それが…その冷たい後ろ姿が、少女少年の瞳に焼き付いたお兄さんの最後の姿でした

少年が建材を振り抜き、それが少女少年の頭蓋を破砕し、せっかく定着していた脳と身体との接続を阻害します

寿命になったディスプレーが急にブラックアウトして画像を映さなくなる様に、少女少年の視界は突如プツンと闇黒に閉ざされ、意識が消失してしまいます(第6ラウンド、矢吹が放ったテンプルへの一撃、及びダウンした際ロープに後頭部を強打したコトによる脳内出血…)

川原の草はらに顔面からドサリと倒れこみ、いくら爪先や建材で脇腹を小突こうともそのままピクリとも動かなくなります

少年たちはようやく血なまぐさい宴から醒め、死んで動かない獲物に興味を失った猫の様に妙に白けた表情になると、ひとりまたひとりとその場を立ち去りだします

お兄さんたちは橋下のざわつきを気にとめるわけでもなく、堤の上を行き過ぎていってしまいます

やがてその辺りには少女少年のほか、誰もいなくなります

何事もなかったかの様に川のせせらぐ音が響き、冬の到来を予告するような冷たい風が川原のセイタカアワダチソウを寂しく揺らします

誰からも置き去りにされた少女少年の傷だらけの身体の上に、それでも等しく平等に、優しくやわらかくお月サマからの小波がひたひたと打ち寄せてきます

血液と吐寫物とドロに汚れ、うつぶせに倒れたままの少女少年の瞳から涙がひとつぶ…鼻先をつたって川原の下草の葉にこぼれ落ち、月光を湛えて哀しくきらめきます

あれほど涸れるコトのなかった涙の泉は、今ようやくその湧出を止めました

静かな、晩秋の夜がやってきたのです

<中村中:あたしを嘲笑ってヨ>

け、剣崎が死んだ~!? 天才の証、ギャラクティカ・マグナムは不発のままなのか!!

次回の「機動戦士ガンダム」は…

ホワイトベースを討ち漏らすことは、イセリナとの恋にかけてもできなかった 最後の強襲をかけるガルマ・ザビ アムロたちが闇の中に恐怖を見た時、シャアのたくらみがガルマを包む
機動戦士ガンダム、次回「ガルマ散る」

君は生き延びることができるか。

機動戦士ガンダムDVD-BOX 2

コメント

  1. みづき☆すずね みづき☆すずね より:

    この記事をアゲた十数年前にも、今回追加した車田なリンチシーンは脳内にあって、ヒットマン役には劉鵬や竜魔や小次郎の他にも月島五中の先輩方や辻本、志那虎の旦那あたりが配役されていました

    んでも、あらためて画像を追加してみたら悪ノリが加速、ドコで止めるべきかも分からぬまま、抑制が効かなくなってしまいましたョ

    全く関係のない画像でも、文面と一緒に並べてみると、案外ソレっぽくなるものなのですねぇw

    なかなかに楽しい時間でありました♪

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